1)左の手前から2番目
1)左の手前から2番目
2)見上げると
2)見上げると
3)葉脈がない
3)葉脈がない
4)裏
4)裏
5)
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6)
6)
7)
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8)樹皮
8)樹皮
9)幼樹発見!
9)幼樹発見!
ナギ
マキ科ナギ属
本州(式根島、紀伊半島、山口県)、四国、九州(南部)、沖縄 山地 常緑高木(高さ20m直径60cmになる) 雌雄別株 庭木や神社によく植えられる。関東地方では若いうちは寒さ除けが必要 熊野信仰との結びつきが強い<3>
低地~山地の照葉樹林に稀。社寺植栽にやや稀。野生化もある。一見広葉樹に見えるが針葉樹。主脈がなく、多数の細い葉脈が並行に走るので容易に見分けられる。<4> 

1)2)"この森"のこの草地には樹はぽつぽつとあり、伐採されずに残った樹と新たに自生して成長した若木の樹なんだろうと思っていた。低い樹が多いので、よい観察ポイントだと。その中に素敵な樹がありました。高さ5mぐらい。下から見上げる樹形が美しいです。
3)4)この葉は際立った特徴があります。主脈がないのです。広葉樹ではなくて、針葉樹。その名はナギ。調べてみて意外な事実に気が付きました。この樹は紀伊半島の樹。熊野の樹で、それより東や北には分布しないのです。熊野信仰に関係あるので神社によく植えられるようですが、関東では寒さ対策をする必要がある。つまりこの樹は、この場所で誰かが大切に育てたのです。どういうことか。想像だが、この場所は元は「公園」だったのではないか。今は、自然保護の網がかかっていて伐採も植栽も禁止されているけど、かつては公園としていろんな樹が植えられたのではないか。定点観察は自生を原則としたいと思っていたのですが、軌道修正を図る必要がありそうです。思えば、丹沢の標高が高い崩落地でも山を守るためよく植栽が行われています。その時、よく言われるのは苗は必ず丹沢産のものを使うこと。ナギが植えられたのが何十年前かはわかりませんが、その時はよく考えていなかったのでしょう。公園ならなおさらです。一応、方針としては、明らかに植栽と考えられるのは明示すること、そして植栽が怪しまれるときは他の株を探すこと。ところで、ナギは雌雄別株です。ということはこのナギはこれ一本だとそもそも子孫を残せないことになります(そしてこのナギは実がなさそうなので雄株のようです)。可哀想なことをしてくれたなあとも思いましたが、せっかく異国で育ったこのナギを温かく見守ろうと思います。(2020/9/28)

【ナギの幼樹発見!】
9) この森のナギの話を覚えてられるだろうか。熊野信仰のご神木。本書に春日山原始林(奈良の春日大社の神域)のナギ林の話が出てくる。著者によるとナギの自生の北限は山口県。春日大社の創建の時、神木として植栽され、1000年かけて現在のナギの純林を形成したという。それも元々のツブラジイ、イチイカシ林の植生を侵略していて、500年後には全山ナギの純林になる、という研究を紹介している。その原因はシカの食害(ナギは食べない)に求めているが、そんなこともあるのか、でもナギの純林も美しいだろうなと感心していた。ところが、である。この森でナギの幼樹を発見してしまったのである。9月にこの山の頂上広場でナギを見つけた。この地域に自生しないので植栽と判断した。それは雄株のようで、雄株だけでは子孫も残せず可哀想に、と呟いたのだった。しかし、その山頂からかなり離れた山麓にナギの幼樹が生えていたのだ。ということは植栽されたナギが野生化して子孫を残しているのだろうか。しかしナギは種子を散布させる仕組みは持っていないという。鳥にも風にも運ばれず、ただ重力で落ちるだけだという。ということは物好きな誰かが植えたのだろうか。不思議な話だ。500年後には答えは出るけど。(2021/2/9)

1)-2), 4) 2020/9/27
3),5)-8) 2020/9/19
9) 2021/2/8

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