1)いつものベンチで見上げると
1)いつものベンチで見上げると
2)この葉っぱは何?
2)この葉っぱは何?
3) ベンチの真後ろの小木だ
3) ベンチの真後ろの小木だ
4)全緑、曰く言い難い形
4)全緑、曰く言い難い形
5)表は無毛
5)表は無毛
6)裏もまあ無毛
6)裏もまあ無毛
7) 枝を折ると白い液
7) 枝を折ると白い液
8)花?   がしかし。。
8)花? がしかし。。
9) 別の樹の花
9) 別の樹の花
10)晩秋
10)晩秋
11)
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12)
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14)
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イヌビワ
クワ科イチジク属 落葉小高木 雌雄別株
関東以西の本州、四国、九州、沖縄。暖地の山地にふつう<1>

1) あれは、梅雨のこの森の"いつものベンチ"でふと見上げた時だった。ベンチの真上を覆っていた葉っぱたちは、つかの間の太陽にキラキラ輝いていた。ああ、いい気持だ。葉は何重にも重なっていた。よく見ると、形の違う違う種類の葉っぱが重なっているようだった。この葉っぱは何だろう。すべては、ここから始まった。(2020/7/26)
2) 一番近くの葉っぱのもとをたどると、
3)ベンチの真後ろの白っぽい木が大きく枝を広げていたことがわかった。
4)全緑。曰く言い難い形をしてる。
5)表は無毛。
6)裏もまあ無毛。
7)枝を折ると白い液。これはイチジク属の特徴だ。イヌビワで確定である。
8)この時期にたくさん実をつけていておかしいと思った。調べてみるとこれは花だという。花? この後、驚愕の事実を知ることになる。(2020/8/1)

9)イヌビワの樹に咲いた花です。今朝、執務前の6時ごろ森に向かいました。この時間はまだそう暑くはありません。いつもは森の中でまったりしているのですが、今朝はあまり時間がない中、昨日のイヌビワとは違うイヌビワを探し当てました。昨日の樹から50mくらいのところかな。こちらの"花"は、もう色づいています。何故、別の樹を探したかというと、イヌビワは雌雄異株なのです。しかしこの花の中を割って見たりもしたのですが、雄株か雌株か今日は結局わからずじまいでした。■でも何故そんなことにこだわるのか。説明しておきます。<花と昆虫の共生進化>です。これがかなり複雑で、私が理解できた範囲で端折って書くと、まず、花はこの球体の中で咲きます。雄株なら雄蕊が中にある。それを雌株の花(球体)の中にある雌蕊に受粉させたい。この役割をイヌビワコバチという蜂が担うそうです。イチジク属は世界に800の種があるそうですが、それぞれのイチジクの種に対応したコバチがいるといいます。さて、雄株にはイヌビワコバチの卵が産みつけられます。卵がかえると何十というコバチが生まれ、花の養分で成長します。花(球体)の中でオスとメスが交尾をする。メスのコバチは羽化すると花(球体)から、脱出する。その時、花粉が体につく。メスは飛び立ちイヌビワの花(球体)に入って卵を産む(写真のように花の先端に穴がある)。それが雌株だったら、雄蕊の花粉がコバチの体についているから受粉成功です。雌株の花は無事、果実となり種ができるというわけです。でも雌株の花に産み付けられた卵はどうなるか、というと雌株の花の構造上、中まで届かなくて産めない。ただコバチのメスは花(球体)から出られずそこで死ぬ。つまり私たちの食べているイチジクの果実にはコバチのメスの死骸だけが残る(流通しているイチジクは人工授粉だからそういうことはない)。一方、メスが入り込んだ花(球体)が雄株だったら、無事産卵して、その花の中でコバチが育っていく。と、こんな仕組みなんだとか。オスはどうなるかというとオスには羽がなくて、一生を花(球体)の中で終えるそうです。つまり、イヌビワコバチはイヌビワの受粉のために生きてるようなものなんですね。ただ、子どもは確実に育つから、子孫を残すためにはメリットは大きいのでしょう。イヌビワの方も風だのみでなく確実に受粉できるからメリットありますね。これが、イヌビワとイヌビワコバチの共生関係なんです。まさに進化の脅威です。こういう共生関係があるということは話には聞いていたんですが、こんな身近なところにあるとは思いもよらなかったので夢中になっているのです。どうも時期が分からないのですが、イヌビワコバチをみつけたい、それは雄株の花の中にいるはず。そのために雄株か雌株かが重要なのです。あと雌株だったら育った果実は美味しいらしいし(コバチのメスもいるけど)。(2020/8/14)
→いろいろ探し回って7株のイヌビワを見つけたが、すべて雌株に見える。一時中断(8/16)。その後、至る所にイヌビワが生えていることがわかる。

10)-12) この森の紅葉は歩いて飽きることがない。山一面の黄とか情緒あふれる赤とかではない。照葉樹林帯は相変わらずの緑だ。その中に一本だけ色づいた樹が面白いのだ。例えばこれは尾根道。何故か一本だけ黄色くなっている。ここは何十回(何百回?)も歩いた道。こんなところに何の樹があったっけ。よく見てみると「定点観察」第1号のイヌビワではないか。最初の同定の苦労は8月のこと。この4か月でそこらじゅう生えていることが分かり、しばらく見向きもしなくなっていた。このように紅葉してくれたおかげで、"再会"した気持ちになったのだった。(2020/11/24)
<冬芽>
13) 今年のテーマの隠花植物、その中でも目に付きやすいシダ、さらには今冬注目している冬芽の同定。思いのほか難航しています。今日は時間が無くなったので、分かったものをとりいそぎ1種。冬芽の中でもかっこいい系でしょうか。これは、高木ではおそらくこの森の落葉樹でもっとも多いイヌビワです。しかし、これも最初判んなかったんですよね。この樹は何だったっけ、と悩みながら目に付いたのが、、、
14) イヌビワの果実。これが幸いにも残っていたので、イヌビワとわかったのでした。一歩一歩進んでいくしかありません。(2022/1/11)

1)2020/7/26  2)8/7  3)7/31  4)-6) 8/12   7)8/14  8)8/1   9)8/14   10)-12)11/22 13)-15) 2022/1/4

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