A)シロヨメナ 白嫁菜
キク目キク科シオン属
本州、四国、九州 山林の縁に生える 花期8~11月<52>
3)花の色は白。舌状花は細い感じ
11)総苞は筒状、毛は少ない
13)葉は長楕円 先が鋭くとがる 大きな鋸歯 葉の三脈が目立たないならゴマナというが微妙。ゴマナかもしれない。
つぶやきは、こちらの18 (2020/11/7)
B)ノコンギク 野紺菊
キク目キク科シオン属
山野の至る所に普通に見られる 花期8~11月<51><52>
B-1)-4)花の色は淡青紫色で美しい。舌状花はシロヨメナより細い。
B-5)総苞は半球形とされるが筒状だな。毛は少ない。色は緑色で先が紫色、というのはピッタリ。<52>によると総苞片は3列。
B-6)分解してみた。舌状花の長い冠毛。これがこの種の大きな特徴とされる。
B-8)茎は短毛が密生。葉は茎をやや抱く。
B-9)-11)葉は大きな鋸歯がまばら。これはピッタリ。
つぶやきは、こちらの22 (2020/12/10)
B-b)ホソバコンギク 細葉紺菊
キク目キク科シオン属
川岸に生える。花期8~11月。神奈川県以西。<52>
Bb-2) ノコンギクのようだが、葉が細長く、大きな鋸歯はない(細かい鋸歯は姉)。<52>によると披針形という。
Bb-3) 総苞は球形で、総苞片は2列。
これはノコンギクだな、と通り過ぎようとしたのですが、あれれ葉が違うと気付いたのでした。どうやら、ホソバコンギクのようです。ノコンギクは大きな鋸歯があるはずなのですが、これにはないのです。もう見尽くしたと思っていたこの森ですが、どうやら見尽くすことはないようです。(2022/10/16 F)
C)サワギク 沢菊 別名 ボロギク
キク目キク科サワギク属
北海道、本州、四国、九州 山地のやや湿り気のある林内に生える 舌状花は7~13本 葉はまばらに互生、羽状に全裂する。 花期6~8月<52>
C 1)-3) 5月、山地の登山道と草地の3か所(F地点)に咲いていた。
C 10) 舌状花は13本
C 11) 総苞片は長い
C 12) 葉は羽状に全裂
C-1) この森の春、もはやもう夏かもしれませんが、それにしてもなぜか野菊なのです。この黄色い花の群生。どう見ても菊なんです。しかし、愛用している図鑑「野に咲く花」に載っていないのです。そもそも菊は秋ですから、菊ではないのか、と思いつつ姉妹編の「山に咲く花」を見たらありました!! 夏(6月~8月)に咲く菊、これはサワギク(沢菊)みたいです。「山地のやや湿り気のある林内に生える」とあり、一応山地には違いないので、間違いないでしょう。標高168mと低山とも言えないほどの小さな山ですが、"山"と言われると何だかうれしくなってしまうのでした。拡大してみましょう。
C-4) サワギクの花。どうみても菊ですよね。葉の形がキクの仲間にしては特徴的で、大きく裂けています。近接する3か所で咲いていました。草地というよりも山地に近い場所でした。もっと拡大してみましょう。
C-5) サワギクの花のアップ。秋ではなく夏に咲くだけあってなのか、小振りでスマートな感じがします。夏の野菊があるとは、野草の世界は奥深いですね。(2021/5/17)
→こちらの40 (2021/5/17)
D)ユウカギク 柚香菊
キク目キク科シオン属
本州(近畿地方以北) 山野の草地に普通に生える 舌状花は白、わずかに青紫を帯びる 茎はよく分岐 葉は浅く裂ける 総苞釣鐘型
D 1)-4) 見事な群生
D 7) 総苞は釣鐘型
D 11) 葉は軽く裂ける 茎を抱かない
D-3) やはり秋の花と言えば、野菊です。この森でも見事な群生です。この森の野菊は、シロヨメナとノコンギクが多いのですが、この野菊はどうも違うようなのです。野菊も多くの種類があって、なかなか識別が難しいのです。結構悩みました。拡大してみましょう。
D-9) 今回の決め手となったのは、花の裏の姿です。花の下の部分(総苞という)が釣鐘状なのです。となると、ユウカギクかカントウヨメナ。カントウヨメナは淡青紫色の花ですが、これは白ですね。ユウカギクということにしておきます。柚香菊。といっても匂わないです。山野の草地に普通に見られると言います。
D-6) ユウカギクの拡大写真。黄色い部分がキク科の特徴で、この部分も識別のポイントになっているようですが、ただいま勉強中です。もしかしたら、ユウカギクではないかもしれませんが、またご報告します。(2021/10/7)
E)シラヤマギク 白山菊
キク目キク科シオン属
E 1)-3) 葉は心形。短毛がある。
E 4) 総苞片は長楕円
E 5)-6) 舌状花は白、数が少ない
E 7) 茎は赤みを帯びる
E-1) この森は野菊が真っ盛り。あそこで、ここでと至る所で野菊が群生しどれも白い花を咲かせています。そのほとんどがシロヨメナ(A)で、たまにユウカギク(D)がある。野菊には多くの種がある。多くの種があっても一つのエリアにはたいていはひとつの種が占めているものです。なので期待薄でしたが、一目では見分けがつきにくいのだけど、念のため丁寧に確認してみました。そしたらやはりもう一種、別の野菊がありました。葉の形が違うのです。心形の葉、シラヤマギクです。
E-6) シラヤマギクの花。白山菊。ハクサンギクと読めば、高山の白山由来の高山植物となりそうだが、これは山に多いけど道端にも普通に生えるらしい。花もよくみると舌状花の数が少なく、野菊の中でも雰囲気がちと違うようです。
E-5) せっかくだからもう一枚。シラヤマギクは舌状花の数が少ないので、この角度が可愛いかな。(2021/10/19 N)
F)ハキダメギク 掃溜菊
キク目キク科コゴメギク属
北アメリカ原産の帰化植物。1年草。東京の世田谷の掃溜めで初めて見つかったことによる。牧野富太郎の命名。<51>
F 5) 総苞片は半球形、総苞片と花枝に腺毛がある。
F 6) 葉は対生。波状の浅い鋸歯
立冬が過ぎてこの森の野草の花はもう咲かないでしょう。しばらくお休みになりそうですが、ある条件を外せば、全く咲いていない訳ではありません。この森の樹木の種類が100に近づいてきたなどと騒いでいますが、じつはこの森の周りの河川敷や街路樹や庭木にはもっと沢山の種類の樹木があります。それは野草も同じで、森の周りに咲く雑草や野生化した園芸種の方が種類としては多いかもしれません。最初のうちは、この森に限定するのは「自生にこだわるからだ」と言っていましたが、この森にはかつての森の管理者やその昔の農家が植えたとおぼしき樹木もあり(現在は植えていない模様)、必ずしも自生とは限らないようです。でも栽培しているわけではないので自生+野生化とは言っていいでしょうが、この森に限定するのは、単に便宜上のエリアに過ぎないかもしれません。現実的には、庭木などに拡げたら園芸種が多いので同定が難しいということもあります。前口上がながくなりましたが、今日紹介する野草の花は微妙だからです。結論をいうと、これは雑草であり帰化植物。この森の出口のぎりぎりのエリア内で咲いていて、可愛かったので紹介します、面白い逸話もあるので。その名はハキダメギク!?
ハキダメギク。これ、キク科なので野菊になるわけだけど、物凄く小さいのです。可愛いでしょう。しかし、ハキダメギクとはひどい名前です。掃溜菊。例によって、牧野富太郎の命名だといいますが、世田谷の掃溜めで初めて見つかったのでこの名にしたといいます。ゴミ捨て場で初めて見つかったからとはいえ、それはないだろう、と思います。帰化植物はいい加減な名前が付けられる場合が多いようですが、ハキダメギクとは可哀想すぎます。(2021/11/7 K)
G)ハルジオン 春紫苑
キク目キク科ムカシヨモギ属
北アメリカ原産の多年草。大正時代に園芸植物として渡来した。各地で雑草化している。茎葉の基部は耳状に張り出し茎を抱く。茎は中空。つぼみは下を向く。巻真富太郎命名。ヒメジョオンの対比でハルジョオンとも<51>
G1)つぼみは下を向いているG4) 葉は茎を抱く
G6) 茎は中空
G1)昨日、ヒメウラナミジャノメがハルジオンに留まっていた、となにげに書いたが、改めて、ハルジオンを紹介します。この花はヒメジョオンにそっくりです。両者ともに明治以降に北米から園芸植物として移入され、大流行し、いまでは各地で野生化していると言います。道端にも生えていますね。ハルジオンもこの森に定着し、毎年花を咲かせています。ハルジオンの方が花期は早いようです。ヒメジョオンとの対比でハルジョオンとも呼ばれています。
G2) ハルジオンの花は綺麗ですね。帰化植物だし、雑草化していてよくみかけるので、嫌う向きもあり、牧野富太郎の命名というが、「牧野植物図鑑」には「好ましくない雑草の一つ」と書かれています。しかし、よく見ると美しく、ヒメジョオンと見分けは付きません。見分け方は簡単で、茎が中空ならハルジオンです。(2022/4/22 F)
A-1) 2020/11/3 2) 11/7 3)10/18 4)-21)11/7
B-1)2020/12/6 2)-4)11/29 5)-6)12/5 7)11/29 8)-11) 12/5
C-1)-12) 2021/5/16
D-1)-2) 2021/9/25 3)9/17 4) 9/25 5)9/20 6)9/26 7)9/25 8)-11)9/20 12)9/17
E-1)-6) 2021/10/16 7) 10/10
F-1)-9) 2021/11/6
G1)-G6) 2022/4/21
<そっくりさん>
[花の色は白]
シオン属
★シロヨメナ(A) 舌状花はやや細い 総苞筒型 総苞の毛は少ない
★イナカギク 舌状花が太く、総苞筒型で毛あり、葉は茎をやや抱く 葉に短毛密生
★ゴマナ シロヨメナに似るが葉の三脈が目立たないというが微妙。総苞筒型 総苞で短毛を密生
★シラヤマギク(E) 葉が心形。舌状花の数が少ない。
★タテヤマギク 葉が三角状。分布は富士山麓のみ。立山は山中湖の立山。近いから探しに行くかな。
[花の色は淡青紫色]
シオン属
★ノコンギク(B) 冠毛が長い 総苞半球型 葉は大きな鋸歯がまばら
★ヤマジノギク 葉が線形
★ユウガギク(D) 花の色は白に近い 総苞釣鐘型 葉は薄い 裂ける
★カントウヨメナ 花の色が薄い淡青紫色 総苞釣鐘型 葉は厚い 裂ける
[花の色は黄色]
キク属
★アワコガネゾク 内陸に咲く
★イソギク 海岸に咲く
オグルマ属
★オグルマ 湿地に咲く
サワギク属
★サワギク(C) 山地に咲く 葉が羽状に分裂する