イヌシデ
カバノキ科クマシデ属 落葉高木(高さ15m 太さ30cmになる) 岩手県以南 山地や丘陵の雑木林に多い 雌雄同株<1>
側脈は12~15対、表面は少し伏毛、裏面は毛(アカシデは側脈は7~15対、最初は有毛だがのち無毛)。<1>
本属の中では最も低地まで分布。アカシデより葉先と葉枝が短い。アカシデは、若葉と紅葉は赤みを帯びる傾向。<4>
樹皮でイヌシデとアカシデの区別しにくい。<4>
アカシデとは、イヌシデは毛が多いことで区別できる。<5>
果苞の基部は張り出さず大きい(アカシデは横に張り出す)
〇F02 いつものベンチ前 高さ12m
16)17) 2月6日の冬芽。17)の下が花芽、上が葉芽か。
18)-20) 3月14日の冬芽。18)が葉芽、20)が花芽(雄花)か。
21)-22) 冬の様子
〇K37 裏東道頂上近く 高さ15m
23)-27) F02は紅葉しないが、こちらは見事な紅葉
〇F02の2つ左隣の樹
28)-30) この樹も確かイヌシデだったはずだが、イヌシデとは違う実をつけていた。と思ったらこれは虫えい。
1)今朝、"この森"に行った。仕事の都合で4日ぶりになった。ずいぶん久しぶりのような気がする。森に入るまでは酷暑だが、入ればいい気持ちだ。のんびりしたいところだが、制限時間は2時間。この暑さで行き帰りのスピードが出ないので、"いつものベンチ"には15分しかいられなかったのが残念。(1)は、このベンチにすわって正面に見える光景だ。2週間前のものだが手前にキツネノカミソリが咲いている。三本の巨木が聳えている。太さ30cmはある。いつしか三兄弟と名付けていた。2)は朝日の頃、3)はベンチを含めて撮影した。今回紹介するのは真ん中の樹。これは何の樹でしょうか。これが難解でした。
(4)下から見上げたもの。これは今朝の写真だ。高さは12mある。ぐなゃぐなゃしているのは三兄弟の距離が近すぎるからかもしれない。この三本はそれぞれ違う種類の樹だが、枝同士がぶつかって自由に伸ばせないようなのだ。そのせいなのか、この樹は横に大きく枝を伸ばし、手の届くところに葉があるのだ。これだけの大木になると大抵は届かないので、観察には貴重な存在。しかし、じっくりと調べたが、イヌシデかアカシデか迷う。樹皮はイヌシデ特有の黒い縦線が明確ではない5)。葉が小さめなのでアカシデかと思ったが、若葉が赤くない(9)。肉眼ではよくわからないが、葉に毛があるのでイヌシデかな(13)-(15)。イヌシデ(確実度75)とした。紅葉すればわかるかもしれない。イヌシデは黄色、アカシデは赤くなるはず。もっと確実なのは実だが、今のところ見つかっていない。明日、よく探しに行こう。(2010/8/21) →しかしいくら探してもみつからないのであった。
→(後日談)紅葉はしないまま落葉してしまった。
<冬芽>
18) この森の冬は冬芽を楽しもうと思いつつ、でも冬芽はいつ見てもあまり変わり映えのしないので、冬は長いから次の機会でいいやとぼやぼやしていたら、あっという間に春が到来。春になると樹々の成長は早く慌てています。写真は2月6日のこの森の落葉樹としては多くあるイヌシデの冬芽です。実は今気づいたのですが、上の芽と下の芽が違います。上が葉芽で下が花芽のようです。まだしばらくは、このままの状態だろうと確認を怠っていたら先日。。。。
20)この日曜日(3/14)に久しぶりにイヌシデをみたら様子が変わっていたのです。明らかに冬芽がにょきにょきと大きくなっていてびっくり。これは花芽と思われますが、いまにも花を咲かせそうです。今度の日曜日にはどうなっていることでしょう。しかし多くの定点観察地点(現在56)を設定したのはいいけど、とても1日ですべては周り切れません。1年に1回限りの芽生えが同じ時期だとしたら、すべてを観察するには何年もかかりそうです。途中で投げ出さず長期戦を覚悟したのでした。(2021/3/18)
<紅葉>
23) これはイヌシデです。この森では照葉樹林の中でも比較的よく見られます。しかし高い樹が多いせいか紅葉が目立ちません。毎回、休憩しているいつものベンチ前のイヌシデは紅葉せずに落葉してしまっています。この見事に紅葉している樹は何の樹か調べてみたら。。。
25) 望遠で写したもの。これは、、、イヌシデのようなのでした。アカシデとの区別が難しいのですが、アカシデは赤く紅葉するので、イヌシデということにしておきます。いったんイヌシデの紅葉と知ると、次々に紅葉したイヌシデが目に入ってくるのでした。(2021/12/9)
<虫えい>
28) もう今年も終わりか、今年は何ができたのだろうかと、この森のいつものベンチでボーっとしていたら、何やら目の前の樹がたくさんの実をつけているのが目に入った。これは何の樹だったか。葉が落ちてしまっているので、記憶をたどるしかないが、確かこれはイヌシデだったはず。しかしイヌシデにはこんな実はならない。違う樹だったのか。しかし、奇妙な実の付き方だ。
29) これは何の樹だといろいろ調べてみたら、これは木の実でも何でもない。「虫えい」というやつでした。いつもこれに騙されるのだ。イヌシデメフクレフシというダニがイヌシデの芽について変形してこんな形になるという。イヌシデには多いらしく、逆にこれによりイヌシデと同定できるとか。まあ病気という訳でもなく普通にあることのようですが、人騒がせな虫えいです。(2021/12/30)
→ガマズミの虫えい
<芽生えと開花>
31)-34) 雄花
35) 葉の展開
36)-37) 雌花、だとおもう
32) 昨日のコナラの雄花と似ていますが、これはイヌシデの雄花です。まず雄花が咲き、続いて葉が展開するという順番で、あっと言う間に雄花は落ちてしまいます。この森にはイヌシデが沢山あるので、地面にはこの雄花がたくさん落ちていました。
33) イヌシデの雄花です。花が開いていますね。もう花粉は落とし終わっているようです。
37) 問題は、雌花です。毎週、観察していたのですが、手が届く範囲では見つかりませんでした。あっという間に咲いて、あっと言う間にしぼんでしまったのかもしれません。樹木の花は、樹冠に多いというので、仕方ないので、望遠で写してみました。10mぐらいの高さなので、不鮮明です。葉と紛らわしいのですが、先端のが雌花と思われます。雌花は樹の下の方には咲かないのかもしれません。(2022/4/14)
1) 2020/8/5 2) 8/16 3)4) 8/21 5)7/29 6)-8)7/26 9)8/1 10)8/5 11)-15)8/21
16)17) 2021/2/6 18)-20) 2021/3/14 21) 2021/1/30 22)1/31 23)-27)2021/12/4 28)-30) 12/30 31)-32) 2022/4/9 33)-34) 4/2 35)-37) 4/9
■課題
この樹には花も実もない。雌雄同株において、株により、年により、花や実を付けない場合があるのか。
樹の上方だけにつくのか、8月では遅くて終わっていたのか。後者の可能性が高い。
→3月~4月に花、すぐ実になって8月には落ちている、というのが正解だった。